就労継続支援とは何かを調べると、A型、B型、雇用契約、賃金、工賃と、似た言葉が続けて出てきます。「働く場所なのか、福祉サービスなのか」「どちらを選べばよいのか」と迷うのは自然なことです。

先に結論をいうと、就労継続支援は、一般企業などで働くことが難しいときに、仕事や生産活動の機会と、続けるための支援を受ける障害福祉サービスです。A型は事業所と雇用契約を結び、B型は雇用契約を結びません。この違いが、働く時間や受け取るお金の考え方につながります。

この記事では、二つの共通点と違い、対象、利用手続き、賃金・工賃、利用料を順番に整理します。最後に、見学で確かめたい条件もまとめました。自分が無理なく続けられる条件を言葉にするところから始められます。

就労継続支援とはどんな制度か

働く機会と支援を受け、市区町村の支給決定を経て利用する障害福祉サービスです。
  1. 希望と生活を整理働きたいこと、通えそうな時間、必要な休み方を窓口へ伝えます。
  2. 働く機会を選ぶ仕事や生産活動の内容が、自分の希望と条件に合うか確かめます。
  3. 支援を相談する説明方法、面談、連絡手段など、続けるための方法を決めます。
  4. 定期的に見直す状態や希望が変われば、計画と次の働き方を相談できます。

就労継続支援は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスです。一般企業などで働くことが難しい人に、働く機会や生産活動の機会を用意し、仕事に必要な知識や能力を高める支援を行います。

「継続」という言葉は、同じ事業所へ一生通い続けなければならないという意味ではありません。今の状態に合う環境で活動を続けながら、生活リズム、作業の進め方、人への相談方法などを整える考え方です。希望や状態が変われば、別の事業所、別のサービス、一般企業への就職を相談できます。

A型とB型に共通するのは、事業所ごとに個別支援計画を作り、本人の希望と必要な支援を確認しながら利用することです。単に作業を渡して終わる場所ではありません。定期的な面談で目標や支援内容を振り返り、必要に応じて計画を見直します。

一方、事業所へ通えば自動的に就職できる制度でも、決まった収入を保証する制度でもありません。どのような仕事があり、何日通い、どの程度の支援を受けられるかは、事業所と本人の状況で変わります。

事業所で見られる活動には、清掃、軽作業、食品加工、農作業、印刷、発送、販売、データ入力などがあります。これは例であり、すべての事業所に同じ仕事があるわけではありません。同じ法人でも、拠点や受注状況によって内容が異なる場合があります。

就労継続支援は「仕事を紹介してもらう場所」とも違います。A型では事業所自身が雇用主となり、B型では事業所の生産活動へ利用者として参加します。地域の企業求人を紹介してもらうことが中心ではないため、一般企業への応募を希望するときは、ハローワークや就労移行支援など別の入口も一緒に検討します。

利用には、市区町村による障害福祉サービスの支給決定が必要です。候補の事業所が「受け入れられそう」と答えても、それだけで利用決定にはなりません。

反対に、窓口へ相談した段階で通う先が決まるわけでもありません。市区町村の手続きと、事業所との確認を分けて考えると分かりやすくなります。

A型とB型は雇用契約で分かれる

上下ではなく、雇用契約、受け取るお金、時間の決め方が異なる二つの選択肢です。
  • A型:雇用契約あり事業所の労働者として働き、契約条件に基づく賃金を受け取ります。
  • B型:雇用契約なし利用者として生産活動に参加し、事業所の規程に沿う工賃を受け取ります。
  • 共通:支援計画本人の希望と必要な支援を確認し、個別支援計画を見直します。
  • 共通:個別に確認仕事内容、時間、休み方、相談方法は事業所ごとに異なります。

A型とB型のいちばん大きな違いは、事業所と雇用契約を結ぶかどうかです。どちらが上か下かではなく、現在の体調、生活、希望する働き方に合う仕組みが異なります。

表は左右にスクロールして確認できます。

確認する点・就労継続支援A型・就労継続支援B型を確認する表
確認する点就労継続支援A型就労継続支援B型
事業所との関係雇用契約を結ぶ雇用契約を結ばない
受け取るお金労働の対価である賃金生産活動から支払われる工賃
時間の考え方雇用契約で勤務日・勤務時間を定める事業所と相談し、支給決定の範囲で通所日数や時間を組む
主な確認仕事内容、採用条件、賃金、勤務時間、支援作業、通い方、休憩、工賃の計算、支援
利用期間制度上の一律の標準期間はない制度上の一律の標準期間はない

A型では、障害福祉サービスの利用者であると同時に、事業所に雇われる労働者になります。採用選考があり、採用後は労働条件通知書などで仕事内容、賃金、勤務時間、休日を確認します。最低賃金を含む労働関係法令の適用が基本です。

ただし、障害福祉サービスの支給決定を受ければ必ず採用されるわけではありません。反対に、事業所の選考を通過しても、市区町村の支給決定が必要です。「利用」と「採用」の二つの確認があると覚えておくと、途中で何が決まったのかを整理できます。

B型では、事業所と雇用契約を結びません。活動によって受け取るお金は賃金ではなく工賃です。最低賃金は工賃にそのまま適用されません。

通う日数や一日の時間を相談しやすい事業所もあります。ただし、自由にいつでも通えるという意味ではないため、受け入れ方を個別に確かめます。

お金の呼び名が違うのは、本人の働きの価値が違うからではありません。雇用契約に基づく労働か、福祉サービスの生産活動かという制度上の位置づけが違うためです。金額だけを見て「A型に行けない自分は劣っている」と考える必要はありません。

A型が向きやすい人、B型が向きやすい人を病名で決めることもできません。同じ診断名でも、必要な休憩、通勤の負担、安定して動ける時間、希望する仕事は異なります。病名の一覧より、自分が一週間をどう過ごせそうかを見たほうが、相談の材料になります。

制度の詳しい条件は、就労継続支援A型とはと就労継続支援B型とはで個別に確認できます。就労移行支援も含めて目的から比べる場合は、就労移行支援・A型・B型の違いと選び方へ進んでください。

対象と利用までの流れを確認する

自治体で順番が前後するため、現在地と次の手続きを一つずつ確認します。
  1. 窓口へ相談A型かB型か決まっていなくても、市区町村へ状況を伝えられます。
  2. 状況を整理必要に応じて就労選択支援などで希望と働く条件を確認します。
  3. 見学・体験候補事業所で一日の流れ、仕事、休憩、連絡方法を確かめます。
  4. 支給決定申請と計画を経て受給者証を確認し、事業所との契約へ進みます。

就労継続支援の対象になるかは、年齢や障がい名だけで決まりません。本人の働く希望、これまでの就労経験、生活状況、必要な支援などを踏まえ、市区町村が支給決定を行います。

A型の主な対象は、一般企業などで働くことが難しいものの、雇用契約に基づいて継続して働くことが可能と見込まれる人です。B型の主な対象は、一般企業やA型で雇用契約に基づいて働くことが難しく、生産活動を通じて能力の維持や向上が期待される人です。

この説明だけで、自分がどちらに当てはまるかを断定する必要はありません。窓口には「毎週決まった時間に働けるか分からない」「短い時間から試したい」など、今の状況を伝えてください。「以前の仕事で疲れが続いた」といった経験も、必要な確認を一緒に進める材料になります。

利用開始までのおおまかな流れは次のとおりです。自治体や本人の状況によって順番が前後するため、最初の相談で確認してください。

  1. 市区町村の障がい福祉窓口や相談支援事業所へ相談する
  2. 現在の生活、働いた経験、希望する通い方を伝える
  3. 必要に応じて就労選択支援などのアセスメントを受ける
  4. 地域から候補の事業所を探し、見学や体験を申し込む
  5. サービス等利用計画案を準備し、市区町村へ申請する
  6. 支給決定と受給者証を確認する
  7. A型は採用手続き、B型は利用条件の確認を行い、事業所と契約する

2025年10月から就労選択支援が始まり、B型を新しく利用する人は原則として先に利用する仕組みになりました。短期間の作業場面などを通じて、本人の希望、強み、負担になりやすい条件を整理し、関係機関と共有します。

ただし、50歳に達している人や障害基礎年金1級を受けている人など、B型利用時に就労選択支援を経ない扱いとなる場合があります。地域に就労選択支援事業所がない場合などの取り扱いもあるため、自分だけで「必須」「不要」と決めず、市区町村へ確認してください。

A型については、2027年4月以降に新しく利用する場合、原則として就労選択支援の対象に加わる予定が示されています。公開時点で将来の制度変更を含むため、実際に申請する時期の自治体案内を確かめる必要があります。

障害者手帳がないと相談できない、と決めつける必要もありません。障害福祉サービスの対象には、障がいや一定の難病等により支援を必要とする人が含まれます。申請に必要な診断書などは状況で異なるため、持っている書類を窓口へ伝え、不足するものを聞きましょう。

相談時には、完璧な説明を用意しなくても構いません。「就労継続支援を考えているが、A型とB型のどちらか分からない」と伝えれば、入口になります。電話が難しい場合は、自治体サイトにメールやフォームがないかを確認し、家族や支援者へ同席を頼む方法もあります。

賃金・工賃・利用料を分けて考える

受け取るお金、サービス利用料、通う実費は根拠が違うため、別々に確認します。
  • 賃金または工賃A型は賃金、B型は工賃です。自分の時間と計算方法を確認します。
  • サービス利用料世帯所得による負担上限を受給者証と自治体の案内で確認します。
  • 交通・食事など交通費、昼食、作業用品などの実費があるか事業所へ聞きます。

就労継続支援のお金は、A型の賃金、B型の工賃、障害福祉サービスの利用料、通所にかかる実費を分けて考えます。一つの「手取り見込み」に急いでまとめると、前提の違う数字を比べてしまいます。

A型の賃金は、雇用契約に基づく労働の対価です。求人票や労働条件通知書で、賃金形態、基本給、手当、勤務時間、支払日を確認します。

時給の場合、月の支給額は実際の勤務時間で変わります。求人票に示された月額だけでなく、何時間働いた想定の数字かを見てください。

B型の工賃は、生産活動の収入から必要な経費を除いた金額を、事業所の工賃規程に沿って支払うものです。全国平均や事業所平均は参考になりますが、自分の受取額を保証しません。通所日数、作業時間、作業量、計算方法が異なれば、個人の金額も変わります。

見学では「平均はいくらですか」だけで終えず、次のように聞くと自分の条件に近づけられます。

  • 前年度の平均賃金または平均工賃は、どの期間と対象者で計算していますか
  • 希望する週の日数と時間に近い人は、どのように金額が決まりますか
  • 休んだ月、作業が変わった月、在宅で活動した月はどう計算しますか
  • 交通費、食費、作業用品など、別に必要なお金はありますか

障害福祉サービスには、世帯所得に応じた利用者負担の上限月額があります。生活保護を受けている世帯と市町村民税非課税世帯の上限は0円です。課税世帯には区分ごとの上限があり、実際の額は受給者証で確認します。

「利用料が0円」と「通うためのお金がすべて0円」は同じではありません。昼食、交通、作業着、日用品などの実費が設定される場合があります。送迎にも利用範囲や時間の決まりがあるため、事業所へ確認してください。

A型では、賃金から税金や社会保険料などが差し引かれることもあります。加入条件は勤務時間や契約などで異なります。

B型の工賃、障害年金、各種手当を一緒に受ける場合も、受給可否や税の扱いをこの記事だけで判断しないでください。受給している制度の窓口へ確認します。

比較するときは、紙を「入るお金」「サービス利用料」「通う実費」の三つに分けます。さらに、休みやすさや疲れ方も別に記録してください。月の金額が高く見えても、通勤で体調を崩しやすければ、続ける条件として再確認が必要です。

自分に合う事業所を選ぶ確認軸

作業内容や材料の扱いやすさを確かめる視点を示す手仕事の糸
材料や作業の進め方にも、自分が続けやすい条件を見つける手がかりがあります。写真はイメージです。写真:Mel Poole / Unsplash(新しいタブで開きます)

同じ質問を各候補へ行い、雰囲気だけでなく一日を続けられるかを比べます。

  • 通える時間と距離混雑、乗り換え、往復後の疲れも含めて記録します。
  • 具体的な仕事内容手順、速さ、変更頻度、体験できる範囲を聞きます。
  • 休憩と欠席連絡不調時に誰へ伝え、どこで休み、どの方法で連絡するか確認します。
  • お金の計算賃金・工賃、利用料、実費を同じ条件で並べます。
  • 次の選択肢希望が変わったとき、別サービスや一般就労を相談できるか聞きます。

制度の種類が合っていても、個々の事業所が自分に合うとは限りません。事業所名や写真の雰囲気だけでは、働く場面での負担や相談のしやすさまでは分かりません。見学では、一日を具体的に想像できる情報を集めます。

最初に確認したいのは仕事内容です。「軽作業」「パソコン作業」という名前だけでなく、実際の手順、速さ、担当範囲、作業の変更頻度を聞きます。見本を見せてもらえるか、体験できるかも確かめてください。

次は時間と休憩です。開始時刻、終了時刻、休憩の回数、遅刻や欠席時の連絡方法を確認します。「体調に配慮します」という説明だけでなく、疲れたときに誰へどう伝え、どこで休めるかまで聞くと判断しやすくなります。

人との関わり方も重要です。作業指示は口頭か書面か、担当者は固定か、困りごとを話す面談はどのくらいあるかを尋ねます。電話が難しい人は、メールや連絡アプリなど別の方法が使えるかを確認できます。

通勤は、地図上の距離だけでは判断できません。混雑する時間、乗り換え、駅からの道、雨の日の移動を含めて考えます。可能なら見学日を普段の通所時間に近づけ、往復後にどの程度疲れたかをメモしてください。

当サイトは、WAM NETの2026年3月オープンデータを事業所番号で統合して掲載しています。対象の就労移行支援、A型、B型、就労定着支援を合わせると26,109事業所です。

このうちA型を届け出ている事業所は4,558件、B型は19,961件でした。複数サービスを提供する事業所があるため、二つの件数を足して全体件数とはできません。

これは求人件数、空き人数、今すぐ利用できる件数ではありません。候補を見つける入口として使い、最新の受け入れ状況は事業所へ直接確認してください。全国のA型事業所と全国のB型事業所から、通える地域の候補を探せます。

候補が多い場合は、次の五つを同じ順番で比べます。

  1. 往復を含め、週に何日なら続けられそうか
  2. 作業の内容と説明方法が自分に合うか
  3. 疲れや不調を伝えた後の対応が具体的か
  4. 賃金または工賃と、実費の計算を説明してもらえたか
  5. 希望が変わったとき、次の働き方を相談できるか

見学後すぐに契約を決めなくても構いません。よかった点、不安な点、確認できなかった点を分けて書き、別の候補でも同じ質問をします。

一か所で合わなかったことは、就労継続支援全体が合わない証拠ではありません。環境や支援方法との組み合わせを見直せます。

まとめ

制度を決める前に、最初の相談で伝える三項目だけを書いておきます。
  • 働きたいこと決まっている範囲で、試したい仕事や将来の希望を書きます。
  • 続けられそうな条件週の日数、時間、通勤、休み方の希望を一つずつ書きます。
  • 最初の相談先市区町村の障害福祉窓口の連絡先と受付時間を確認します。

就労継続支援は、一般企業などで働くことが難しいときに、仕事や生産活動と必要な支援を受ける障害福祉サービスです。A型は雇用契約を結んで賃金を受け取り、B型は雇用契約を結ばず、活動から工賃を受け取ります。二つに上下関係はありません。

利用できるかは、病名や年齢だけでなく、本人の希望や生活、必要な支援を踏まえて市区町村が決めます。お金は、賃金・工賃、利用料、実費に分けて確認しましょう。

今日できる一歩は、通えそうな地域のA型とB型を一件ずつ見て、気になる条件を三つ書くことです。まだ選べない場合は、市区町村の障がい福祉窓口へ「A型とB型の違いから相談したい」と伝えてください。